Latest update 2004.11.10
女優を別世界の美女へと変貌させたり、空想的構想スケッチをもとに精巧なヘアスタイルを生み出したりと、『エピソード3』でメイクアップを統括するニッキ・グーレイはメイクアップとヘアピースの魅惑的な特徴を熟知している。
グーレイはこれまで『ドクター・モローの島』、『マトリックス』、『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』、『ピーター・パン』などの映画においてメイクアップとヘアデザインを担当してきた。グーレイはメイクアップと髪型の優れた才覚を持ち、子役ヒーローであろうが、恐ろしいヴァンパイアであろうが、個々のキャラクターに特徴と個性を吹き込む。
『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』において、グーレイのメイクアップチームは(アナキン役の)ヘイデン・クリステンセンの見た目が将来ダース・ベイダーへと大変貌していくように導き、また、常に小奇麗に着飾っている多くの元老院議員はもちろんのこと、(パドメ役の)ナタリー・ポートマン用の手の込んだヘアピースと髪飾りを完成させることとなった。
グーレイのメイクアップチームは撮影8週間前の試し撮りの時期にシドニーのスタジオに到着した。込み入ったメイクアップやヘアスタイルが必要なキャラクター全てをこなすにあたり、当然のことながら、毎日ほとんどのキャストやクルーよりも早くスタジオに着き、撮影後も翌日の準備のために何時間も残り作業にあたっている。
「メイクアップアーティストとして、また部門を管理する身として、毎朝とても早くからスタートします」グーレイは説明する。「もし撮影を朝7時半から行うなら、役者はその前1時間のうちにメイクアップだけではなく、着替え、食事、リハーサルその他全てを終了しておかないといけません。早朝5時から撮影終了後までずっとスタジオにいることもよくあります。役者のメークを取ってきれいにし、後片付けをし、それから翌日の準備をします。週5日、毎日14時間程度で、16時間になることもあります。ロケーション時には週6日になります。」
タイミングが全てであり、セットに呼ばれるまでの間にのみ役者をメイクアップチェアに座らせるような時には、特に時間調節が大事になる。秒刻みでの仕事なため、グーレイは極めて多忙な状況での時間管理技術を修得しなければならなかった。
グーレイは言う。「私たちはアシスタント・ディレクターに対し、ヘアデザインやメイクアップにどれだけの時間がかかるのかを伝えたものです。もし私たちが1時間といえば、大丈夫、1時間もらえるでしょう。でも、その1時間の後に、朝食時であれ、リハーサル時であれ、アシスタント・ディレクターが役者に対して何か他のスケジュールを入れるのです。役者はセットに8時半にいる必要があれば、8時半にいなければならない。そして、もしセットが予定より早く準備できれば、撮影は無理にでも前倒しに行われることがよくあります。つまり、ヘアデザインとメイクアップに1時間半かかってしまっても、時間に間に合わないといけないのです。準備できていてもいなくても、時間には逆らえません。よって、何かが予想していたより長くかかった場合には、時間に間に合わせるために、後でどこかで時間を稼ぐことができるように手っ取り早い方法で行わないといけないことがよくあります。」
グーレイを常に張りつめた状態にしているのはまさにこのような極度の緊張感であり、これが面白い撮影環境づくりに大いに貢献している。
グーレイは言う。「このタイミング、そして要求されているものがいかに骨の折れるものかは、誰も気がつかないと思いますが、過酷なものです。ここで働いているとランチやディナーを落ち着いてとることはできません。何かしないといけないことになれば、それが何であれやらないといけません。そして、もし自分にとって限界である午後6時までに終わらなかったら、不運としか言いようがありません。終わるまで居続けないといけませんが、それが午後11時になることもあります。周りからは多くの注文があります。生まれながらにタフであればいいのですが、多くの人がうまく順応するために悪戦苦闘していると思います。」
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